更新日 2022年11月10日
SFC版のタクティクスオウガが発売された当時(1995年)は私も攻略本を購入していました。 当時はインターネットが普及していませんでしたし、攻略情報はゲーム情報誌か攻略本を見るのが当たり前だった時代です。
私は一本のタイトルを何周もプレイしたいやりこみ派でしたので、普通にプレイしていては見逃してしまったはずのイベントの存在などを知ることができた攻略本はありがたい存在でした。 タクティクスオウガ以外のゲームでも多くの攻略本のお世話になったと思います。
一方で、新聞や雑誌の売り上げは年々減少し、おそらく攻略本も売れにくくなっているのかもしれません。 攻略本と攻略サイトの意義を私個人の考えをお話ししていこうと思います。
私はウェブ制作の仕事をしています。 この攻略サイトは私が好きなゲームを趣味でダラダラと作っていて「更新が遅い!」と嘆いていただける方もいらっしゃるのかもしれません。
幼少より印刷物に慣れ親しんだ経験と、ウェブ制作に携わってきた経験から、多くのゲームユーザーにとって何が良いのかなぁと考えることがありました。
攻略本の印刷業界と、攻略サイトのウェブ業界といった分け方をすれば印刷業界はライバルになるように見えると思いますが私は敵対関係にあるとは考えていません。
いくらウェブ業界が発展しようとも印刷物がなくなるとは思えませんし、利益を考慮しながらクライアントが選択するものだと考えています。 スピードとコストはウェブが有利、手軽さや視認性は印刷の方が有利です。
たとえば、合格証書をウェブの画像でもらってもありがたみに欠けますし、本の画集や写真集なら色合いもかなり正確に再現してくれます。 また、本の持つ重みや香りはウェブで代用できない所有欲をも満たしてくれるでしょう。
その反面、料理本やコミック、ビジネス書、そして攻略本などのジャンルは本である必然性を感じなくなってきました。 料理ならクックパッド、コミックならジャンププラスなど便利なサービスがたくさんありますし、一度読んだら不要となるビジネス書であればキンドルでも良いと感じるようになったのです。
では、攻略本はどうでしょうか。
まず、攻略本の良い点といえば“情報の信頼性”が挙げられます。 信頼性という面でいえば誰が書いたか分からない攻略サイトよりも攻略本に軍配が上がるでしょう。
ゲームの開発元から画像やパラメーター、隠し要素などのデータを受け取ることができ、誤植でもなければ信頼できる内容になっています。 やり込み要素の強いゲームであれば情報を網羅した何百ページもある分厚い攻略本は頼りになる存在であることは今も変わりません。
ただし、それ以外の点においてはウェブの方が有用な点が多いように感じます。
一つ目に挙げられる点は無料であること。 説明するまでもなく攻略サイトの大きなアドバンテージになります。
二つ目に挙げられる点は“今すぐ見られる”こと。ゲームを買って、しばらく進めたところで重要な選択肢や、どうしても解けない謎に突き当たったとします。 日中であれば近くの本屋さんへ走っていくこともできますが、夜間や外出できない事情がある方にとっては攻略サイトでしか満たせない需要もあります。
三つ目は“個々の視力に応じて柔軟性がある”こと。 私が攻略本を見ていて最も不便に感じる点は注釈などが小さな文字で読みにくいことです。 二十代までは読めていた小さな注釈も最近ではちょっと読めません。
印刷物には紙面の制約から大きな文字を使えないとった事情がありますが、ウェブサイトには文字を拡大・縮小できる機能があります。 視力にハンディキャップがある方には文章を音声で読み上げてくれる便利なブラウザもあり、各々の視力に応じて柔軟性があるのです。
では、攻略本は時代遅れのメディアなのでしょうか。
私の見解では、攻略本に明るい将来は考えられません。 印刷物からデジタルへシフトすべき時期に来ているのではないでしょうか。
攻略本の不要説を主張したいのではなく、時代の潮流に合わせたベターな方法を模索していくべき時期だと考えているのです。 攻略本制作で培ったノウハウをウェブへ転用し、ゲーム攻略のポータルサイトのようなものが作れるはずです。
開発メーカーさんからの情報提供や取材をしてきた経験は、個人が趣味で作っているようなサイトにはできない信頼性があります。 また、攻略本の製作にはPhotoshopやIllustratorなどのソフトを使ってきたと思うので、そのスキルも応用できます。
すでに有料のコミックサイトがあるのですから仕組み自体は難しいものではありません。 開発元から得た正確なデータをデジタル化し、有料会員や広告収入を元にポータルサイト、つまりゲーム攻略の総合サイトにするのです。
「私は印刷業界の人間だから印刷だけ」といったこだわりから脱却すれば、これまで攻略本を制作してきたスタッフは失業せずに経験を活かせます。 攻略本制作が斜陽産業だとしても緩やかにデジタル化していくことは可能なはずです。
特に若い方にはPhotoshopやIllustratorの使い方を積極的に学んで欲しいと思っています。 人並み以上に使いこなせるようになれば、たとえ勤めている出版社がなくなったとしても次の活躍の場が見つかるはずです。
もちろん、PremiereやInDesignだって構いません。 攻略本の需要がゼロになる前に、自分の武器となるスキルを身に付けておいた方が良いのでは?ということです。
では、この攻略サイトは何なんでしょうか。
先にも触れましたが私はウェブサイト制作会社に勤めています。 いわゆるウェブデザイナーです。 普段、ウェブサイトを作りながらウェブの長所と短所を意識しています。 上述した攻略本と攻略サイトの一長一短のようなものも、そんな経験から感じたことでした。
私はタクティクスオウガが好きで初代のSFC版は何百時間もプレイしたはずです。 死者の宮殿は何度も潜りレア武器はすべて回収しました。
その後、タクティクスオウガ外伝やタクティクスオウガ運命の輪が発売されましたが、外伝はGBAのもっさり感が、運命の輪はクラスの仕組みが受け入れられずにスルーしてきました。
私には「何百時間もプレイ(浪費?)したタクティクスオウガの経験を活かして、面白くて分かりやすい攻略サイトが作れるのではないか?」と思えたのです。
その一方で、私が攻略サイトを作ることで攻略本を制作している出版社やスタッフさんの利益を減らしてしまうのではないかという懸念もありました。
攻略本は数十年後になくなるのかもしれないと感じていますが、それは自然淘汰という流れの結果であって、私個人が意図的に潰せるほど脆弱な業界ではないはずです。 それなら、今は棲み分けを考えてみるべきかと考えたのです。
上記の仮定を軸にして攻略本とは異なる方法で棲み分けてみようと考えています。 攻略本の習慣にとらわれない親しみやすい語り口で、ちょっとした小ネタや失敗談を交えながら私ならではの攻略サイトを作っていこうと模索しています。
別のページと雰囲気が違ってしまってごめんなさい。 印刷業界もウェブ業界も得手不得手を理解しながら互いに長所を伸ばしていけることを望んでいます。